喉元過ぎれば・・・。

 

現在行われているサッカーのワールドカップ。

日本は無事予選を突破して、決勝トーナメントへの進出が決まりました。

私は昨夜の試合を見られなかったので、取り敢えずは決勝に進む事ができたというニュースにホッとしていたら、0対1で負けていたにもかかわらず、このまま試合が終われば決勝に進出できるということで、後半は無理に攻めずに自陣でボール回しに徹していた戦術に批判的な意見が出ていました。

確かに試合を見ていた人にとっては、退屈なつまらない試合だったんだと思います。

1点負けているんだから、積極的に攻めに行かなきゃダメだといってる人もいました。

でも積極的に攻めていって逆にもう1点取られたら、日本は予選敗退になってしまったんですよね。

テレビのコメンテーターの人達が賛否の意見を交わしている姿を見て、私は1993年のドーハの悲劇を思い出しました。

1994年のアメリカワールドカップのアジア予選。

日本はイラクとの最終戦、勝たなければワールドカップへの出場はありませんでした。

しかし三浦知良選手や当時スーパーサブといわれた中山雅史選手の活躍もあり、69分の時点で日本が2対1で優位。

誰もが祈るような気持ちでテレビを見ていたと思います。

私もテレビの前で試合終了のホイッスルが鳴るのを今か今かと待っていました。

しかし試合終了間際の89分50秒。

攻めに行こうとしてイラクにボールを奪われ、カウンター攻撃を受けた末にコーナーキックとなりました。

この時点で既にロスタイム。

このコーナーキックさえ凌げば試合終了となり、日本のワールドカップ初出場が現実のものとなる。

しかし現実は残酷。

ショートコーナーからのセンターリングにあわせたイラク選手のヘデイングが、放物線を描いてゴール隅に入りました。

その瞬間、日本中の時が止まりました。

テレビからは試合会場の歓声以外、何も聞こえてきません。

解説者もアナウンサーも黙ったまま。

私も目の前で起こった現実をしばらくは受け入れる事ができませんでした。

あの時、不用意に攻めにいかなければ・・・。

ボール回しに徹して、相手にボールを奪われなければ・・・。

ワールドカップ初出場という夢に、手が届くと確信していたであろう選手たちの気持ちを思うと自然に涙が溢れてきました。

 

もう25年も昔の出来事です。

でも、その時の部屋の様子やどんな格好でテレビを見ていたかなど、今でも鮮明に覚えています。

むしろ、一生忘れる事の出来ない出来事なのだと思います。

 

昨夜の試合について思う事は、人それぞれだと思います。

どれが正しいのか、私にはわかりません。

ただ、私は日本が決勝トーナメントに進出できたことを素直に喜びたいと思っています。